横浜市の坂本堤弁護士(当時33)一家3人がオウム真理教幹部らに殺害された事件で、坂本さんらの遺体発見から6日で30年となった。坂本さんが見つかった新潟県上越市の山中では同日、追悼式が行われ、同僚だった弁護士ら約40人が慰霊碑を前に黙禱(もくとう)を捧げた。
坂本さんは教団信者の家族から相談を受けて被害救済活動をしていた1989年、自宅で襲われ、妻都子(さとこ)さん(当時29)、長男龍彦ちゃん(当時1歳2カ月)とともに殺害された。
追悼式では、日本弁護士連合会の渕上玲子会長が「弁護士が妨害に屈したら、市民の人権と社会正義が失われる。事件の風化を防止し、弁護士業務妨害対策の象徴として後世に語り継いでいく」と強調。坂本弁護士の同僚らによる「坂本弁護士と家族を救う全国弁護士の会(救う会)」が担っていた慰霊碑の管理を、今後は日弁連が主体的に行うことを明らかにした。
「家族が大好きな男だった」 同僚の思い
また、坂本弁護士と同じ法律事務所で働き、遺体の捜索に立ち会った「救う会」事務局次長の小島周一弁護士(69)は「みんなで集まることが好きで、家族が大好きな男だった」と話し、寂しい山中で遺体が発見された時の痛切な思いを振り返った。そのうえで「30年経っても多くの人がこの事件を覚えてくれているのは、弁護士が仕事をする意味や大切さが語り続けられているからだと思う」と話した。
弁護士一行はこの日、都子さんの遺体が見つかった富山県魚津市でも追悼式典をした。7日は龍彦ちゃんが見つかった長野県大町市でも行う予定。